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創業95年の信用とネット通販19年の実績 さのや

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投稿日:2011年01月29日

日本橋佐野屋 発展の秘密(2) 【さのや歴史講座 8 】

お江戸日本橋繊維問屋

 

 徳川家康が江戸に幕府を開き、江戸の街割り(都市計画)を決めた頃から、日本橋に大店を構えていたのが大伝馬町組と呼ばれる繊維問屋の株仲間(冥加金を幕府へ上納することで販売権や仕入れの独占を公認された同業組合のこと)でした。

 

京都から江戸に政治の中心が移ると伊勢や京都を本拠地としていた大商人も江戸に移ってきます。高度な加工技術を必要とする絹織物や木綿などの太物は、生産地が京都や伊勢、三河など関西にありましたので、これを江戸という最大の消費地に送り込むことによって多大な利益を産んでいました。

 

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(大伝馬町の大店 長谷川、大和屋、川喜多など大伝馬組の問屋が並んでいる)

 

江戸中期になると、後発ではあっても京都にあって豊富な資金を蓄えてきた呉服商が江戸に支店を置いて、関東で発達してきた絹織物や木綿織物を直接仕入れることにより問屋化して、大伝馬町の旧勢力と対立するようになります。京都や近江の商人を中心とする新興のグループは、白子廻船を介して関西と江戸を結んだことから、白子組と呼ばれる株仲間を結成しました。越後屋(三越の前身)、大丸屋、白木屋、大黒屋など、当時もっとも大きな繊維問屋がこの新興勢力に属していました。

 

宇都宮から江戸に進出した佐野屋は、その品質で頭角を現してきた地場産業である真岡晒木綿を一手に握ることで、日本橋において力を蓄えます。それには、これまで築いてきた佐野屋の分家・別家網が大いに機能を発揮することになります。本家の佐野屋治衛門店から、真岡に代吉を出店させ、人材を送り込みます。そして、真岡木綿の取り扱いにおいて、ほとんど独占支配するようになったのです。

 

天保の改革

 

日本橋の佐野屋が発展してゆく時代は、上方で栄えた元禄文化のバブルがはじけて、化政期(文化・文政)の江戸文化へと移って行った時期で、華やかな文化の裏で幕府財政が苦しくなって行きます。追い討ちをかけるように、全国的に凶作に見舞われ、打ちこわしや一揆が発生します。幕府財政の建て直しや諸国経済の安定を期して老中水野忠邦が改革に着手します。日本史の教科書に載っている江戸時代3大改革の一つ天保の改革です。

 

水野忠邦の経済改革の一つに、株仲間の解散という政策があります。独占的な株仲間を解散して自由経済の発展を目指した経済政策です。これによって、天保12年(1841)「直売り勝手次第」となって大伝馬町組や白子組の独占的な特権が廃止されます。真岡木綿の生産量の増大ともあいまって、この期に乗じて日本橋佐野屋は商売を広げて一気に大手と肩を並べるほどに成長します。

 

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(白子組の有力問屋 駿河町越後屋 現在も三越本店となっている)

 

結果として天保の改革は失敗し、水野忠邦は失脚してしまいます。そして、株仲間解散から10年後、嘉永4年(1851)に再び株仲間が再興されると、その実力によって日本橋佐野屋は白子組の元組加入が認められ問屋仲間に加わります。文化11年(1811)に江戸進出して40年目の成果でした。

 

白子組木綿問屋

柏屋孫左衛門

京都

本町一丁目

恵比寿屋三郎兵衛

京都

尾張町二丁目

白木屋彦太郎

京都

通一丁目

大黒屋三郎兵衛

京都

本石町四丁目

大黒屋吉右衛門

近江

通油町

伊豆蔵屋吉右衛門

京都

本町四丁目

舛屋九右衛門

近江

麹町五丁目

近江屋伝兵衛

近江

通一丁目

大丸屋庄右衛門

京都

通旅籠町

佐野屋長四郎

野州

元濱町

越後屋八郎兵衛

京都

駿河町

松居屋久衛門

近江

伊勢町

 

上は白子組のメンバーリストですが、京都や近江の商人で占められる中で、野州(下野国)出身の佐野屋はまさに異色と言えるでしょう。

 

日本橋佐野屋は、こういう時代背景のもとで成長を遂げました。これは一見大変な幸運に恵まれた結果にも見えます。しかし、その成長の理由は幸運だけではありません。後世に何度も復刻された「淡雅雑著」や、当時の商家の史料として現在も研究者によって研究評価されている「店教訓家格録」に見られるように、当時の商売の方法から、家政の維持、子孫の教化など広い視野に立った経営者としての見識や政策をしっかり持っていたことが、成長の秘密であったと確信できます。

 


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(古地図に見る日本橋佐野屋の位置)

 

◆東京都豊島区大塚質屋さのやのホームページはこちら 

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